鮎川哲也賞作家岸田るり子さんの作品紹介です。

- 2007年10月
小説すばる10月号 短編「生命の電話」
 また社長が、悩み相談の間違い電話に適当な受け答えをしている。面倒なことにならなければ良いのだが……。
 サツキは、営業の橋本と社長の前川のわずか三人だけの零細企業に勤めていた。電話番号が昔の「命の電話」と同じ番号なので、古いタウンページを調べた者から時々間違い電話がかかってくることがあった。その日も暴走族のメンバーで犯罪紛いのことばかりしている息子を殺して、自分も自殺するという母親から間違い電話がかかってきた。いい加減な受け答えをする前川に、サツキはうんざりするのだが……。
 巧みに張り巡らした伏線。ロジカルに紐解かれる真相。鮎川哲也賞作家が放つ秀逸な短編ミステリー!

集英社 月刊雑誌  定価880円税込

- 2006年12月
第三作「天使の眠り」
 京都の医学部大学院に勤務する秋沢宗一は、研究室助手の結婚披露宴で、偶然ある女性を見かける。それは13年前、札幌時代に激しく愛しあった亜木帆一二三だった。不思議なことに、もう中年であるはずの一二三は20代の若さと美貌を持った別人となっていた。昔の燃えるような感情が甦り、どうしても彼女のことが忘れられない秋沢は、女の周辺を探るうち、驚くべき事実を掴む。彼女を愛した男たちが、次々と謎の死を遂げていったのだ……。
 鮎川哲也賞作家が放つ書き下ろし長編ミステリー!

徳間書店 四六判・ハード  定価1,890円税込

- 2006年4月
第二作「出口のない部屋」
 美貌の新進作家・仁科千里のもとに原稿を貰いに行った私、魁出版の香川。
〈そうだ、この声だ。昔とちっとも変わっていない。それにしても、私に気づかないとは……〉
 私は名刺を差し出した。彼女はそれを自分のほうに引き寄せて一瞬目を細めた。それからもう一度私の顔を見た。
〈ああ、気がついたのだ。私に〉
 渡された原稿のタイトルは「出口のない部屋」
「読ませていただいていいですか?」
 彼女はロボットのように無表情のまま頷いた。
 それは、一つの部屋に閉じ込められた二人の女と一人の男の物語だった。
 なぜ、見ず知らずの三人は、この部屋に一緒に閉じ込められたのか?
 三人は、免疫学専門の大学講師・夏木祐子、開業医の妻・船出鏡子、そして売れっ子作家・佐島響。いったいこの三人の共通点はなんなのか?
 三人とも気がつくと赤い扉の前に立ち、その扉に誘われるようにしてこの部屋に入ったのだった。そして閉じ込められたのだ。
 あなたたちは、どういう経緯でここにやって来たの?
 それぞれが記憶を辿り、その部屋に来るまでを話し始める。
 私の知りたかったことはすべてそこに書かれていた。そして〈出口のない部屋〉の意味も明らかになる。

『密室の鎮魂歌』で第14回鮎川哲也賞を受賞した岸田るり子が見事な手法で贈る、待望の第2作! (東京創元社HP 2006年4月5日掲載文引用)

東京創元社 ミステリ・フロンティア 四六判仮フランス
定価1,575円税込(本体価格1,500円)

- 2004年10月
鮎川哲也賞受賞作「密室の鎮魂歌」
 海外でも成功している女流画家の個展会場で、『汝、レクイエムを聴け』という風変わりな作品を見た一人の女が失神した。画家が五年前に失踪した自分の夫の居場所を知っているはずだ、というのが彼女の不可解な主張だった。画家とその失踪したといわれる夫はまったく面識はない。 五年前のその失踪事件は謎に満ちていた。密室に残された青酸カリの空き瓶と、青酸カリ入りのワインを飲んだと思われる空のグラス。しかし死体はない……。 そして、その失踪の現場だった家で五年後の今、再び事件が起きた。今度は密室殺人事件だった。さらに密室殺人はつづく。 そして、失踪した男の背中の刺青と、絵の中の骸骨が持つ旗に描かれた図柄が同じだという奇妙な符合。魅力的な謎といくつもの密室に彩られた、鮎川哲也賞受賞の傑作本格ミステリ。(東京創元社HP 2004年9月10日掲載文引用)東京創元社 四六判上製 装画:三浦均 装幀:緒方修一ページ数280P 定価1,785円税込(本体価格1,700円)※上記紹介文は、東京創元社のホームページより東京創元社および作者の了解のもとに引用掲載しております。

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