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随想録

推理小説賞に関することや雑多な情報、そして徒然なるままに感じること
を書き連ねた頁です。作家を夢見る思いなどは「夢綴り」をご覧下さい。

『このミステリーがすごい!』大賞に掲載されたメッセージ
 先日、柳原慧氏の「夜の河にすべてを流せ」が『このミステリーがすごい!』大賞に決定しましたが、その決定を報じるホームページに次の一文が掲載されていました。

「第1回、第2回と似たような傾向の作品──犯罪小説・近未来もの・歴史もの──が多くなっています。次回は、今までに応募が少ないジャンルの作品──ホラー・伝奇小説・本格──も読んでみたいと考えています」

 H.R.キーティングは、著書「ミステリーの書き方(原題:WRITING CRIME FICTION)」の中で、ミステリーのバリエーションを次のように分類しています。
 まずは「古典的探偵小説」、古典的探偵小説の発展型として「倒叙型探偵小説」「背景型探偵小説」「ハウダニット型探偵小説」「ホワイダニット型探偵小説」、そして探偵小説の対照として登場した「推理小説」、推理小説が発展した「犯罪小説」、さらに犯罪小説がアメリカで発展したものとして「私立探偵小説」「警察小説」「サスペンス小説」、最後に中心的形式の周辺に置かれた「ユーモア・ミステリ」「歴史ミステリ」「回想的ミステリ」「現実の犯罪にもとづいたミステリ」という具合です。
 非常にややこしいですが、キーティングの分類では所謂本格ミステリーが属するところが非常に曖昧で、古典的探偵小説と推理小説を合わせた中に本格ミステリーが存在するようです。
 このようにミステリーは、非常に多岐にわたった内容を持っているのですが、最近の各賞を見てみると、冒頭に提示したメッセージにあるように、犯罪小説や警察小説が多いように見受けられます。
 本格は、その内容を論じることなく、パターン化されているといって敬遠される傾向にあるのに、犯罪小説や警察小説は、どれほど類型化されようとも本格のように一括りにされることもなければ新鮮味がないといわれることもありませんでした。
 そのようなときに、冒頭のメッセージを見て少々安心した気がしました。広義のミステリーというときには、一つの形式に囚われることなく幅広い形式を受け入れると解釈しますが、その実、犯罪小説や警察小説に偏る傾向が長く続いています。様々な形式が渾然一体となって競い合ってこそはじめてミステリーが新鮮味を失うことなく発展していくものと思うのですが、広義を標榜する全ての賞がそうなっていくことを願わずにはいられません。
2003/10/04 (Sat)

第16回小説すばる新人賞一次選考通過作
 第16回小説すばる新人賞一次選考通過作が、小説すばる9月号に発表されています。また、集英社の小説すばるのホームページでも発表されています。
通過作は以下のとおりです。

朝顔  徳田修司<北海道>
君に似た人  小松リカ<北海道>
虹のかかる街  藪 淳一<北海道>

月の客  堀川アサコ<青森県>
天ヶ瀬浦  五十目昼鹿<宮城県>
月王  渋谷由美子<山形県>
月の匂い  秋野紫苑<福島県>

拝啓、天皇陛下様。ずっと前から好きでした(大爆笑)  長島芳明<群馬県>
海王市冥王町一丁目  桃田悠作<埼玉県>
プリンス・ラーギニー  加松 正<埼玉県>
ホームベースで捕まえて  宮川 直<埼玉県>
宙の破片  小室葉月瑛<埼玉県>
頑張れ!大和川断酒会  倉 道彦<埼玉県>
あの川の向こうへ  SORA<埼玉県>
賽子を振る娘  N・カミオカ<埼玉県>
向日葵の少年  道尾秀介<埼玉県>
輪廻の花  加賀麗子<埼玉県>
死神  森 直也<埼玉県>
Aフラットのバラード  平居 歩<千葉県>
アイデンティティ・クライシス  南原麻子<千葉県>
電波の女の子の古着屋  川村 忠<千葉県>
飛んでゆきたい  新井朋博<千葉県>
下井草ブロードウェイ  樋上拓郎<千葉県>

HP「恋愛未熟」  アイノ・リンゴー<東京都>
ナンカー・フェルジ  藤村美帆<東京都>
3m8cmの向こう  伊藤 恵<東京都>
明日は月の向こう側  鳥井貴之<東京都>
下町極道物語  吾川亮治<東京都>
逃げ出したいのに  久保庭ひろし<東京都>
エンドレス・ピース  桜町邦彦<東京都>
太陽に背を向けろ!  渡辺 球<東京都>
あしたの雲  本多 明<東京都>
ホール・イン・ワン・LOVE!  若木智円<東京都>
Living  遠野りりこ<東京都>
アカコとヒトミと  山本幸久<東京都>
五十年の孤独  佐藤 元<東京都>
SEVEN NIGHTS SEVEN  武岡徳秀<東京都>
美貌の功罪  植松三十里<東京都>
姫ぎみの宝石  宮川美雄<東京都>
鵺の呼ぶ声  野火 迅<東京都>
声の神殿  橋本賢一<東京都>
霧の森  田村 舞<東京都>
コスミック ハーモニー COSMIC HARMONY  川中子佳子<東京都>
バックパッカー  芹澤希梨<東京都>
ショコラ・デイズ  原田小百合<東京都>
体の中を埋めること、白い骨が見えること  山本健司<東京都>
プラチナガーデン  須郷 哲<東京都>
リサレクション(復活)  有村かおり<東京都>
さ・い・は・て  倉本桂輔<東京都>

リフォームの男  関 靖勝<神奈川県>
「ウリ」のためのエチュード  朴 敏基<神奈川県>
蜃気楼  篠原啓介<神奈川県>
手を振る人、尾を振る鯨  吉野万理子<神奈川県>
花の八十年代村  暁慶 実<神奈川県>
彼女自身の物語  安宅左知子<神奈川県>
N43°  萩原 陵<神奈川県>
常葉私記  越水倭禾<神奈川県>
七日間の休暇  北山あすみ<神奈川県>
官能小説家になるには?  山田ロマン<神奈川県>
しあわせのこみち  辻村美由紀<山梨県>

闇より昏き道  一木隆康<静岡県>
シルバー  へのへのもへじ<愛知県>
すべては夢さ  小川航太<愛知県>
恋がどんなものなのか、あなたは知らない  柊遠海<愛知県>
ややや  大森和哉<三重県>
廊下の鳴る家  中西卓郎<京都府>
鳥籠(BIRD CAGE)星野あさ美<大阪府>
モノトーン、青い鳥、赤い花  坂井智一<大阪府>
純愛  一石明成<大阪府>
花籬好風しぐれ  千代原鉄秀<大阪府>
月の古城で裏切りを  東本和志<大阪府>
レモンゼリー  沖田京子<大阪府>
夜  谷 英和<大阪府>
放課後ハシカ  高橋比沙子<兵庫県>
月に浮かんだ夜想曲  岡本 樹<兵庫県>
約束の夜  田中善文<兵庫県>
君が咲かせる花  呉羽 筍<兵庫県>
家族めくり  尾高 享<兵庫県>
婿とり狂詩曲  森 明日香<奈良県>
旅に出るまで  上杉紀之<和歌山県>
BLEACH  毬谷コウ<和歌山県>
木地師の娘おなつ  石原洋三<岡山県>
八方未来  蔵田弓子<岡山県>

メゾン・ド・ソレイユ 〜La maison de soleil〜  杏鈴みさ<香川県>
交換日記とダイヤモンド  山内勝博<愛媛県>
ホワット・ア・ワンダフル・ワールド  萩原万知<熊本県>
ガブリエル・フォーレの夜に  佐伯桂奈子<鹿児島県>
記憶から記憶へ  大城貞俊<沖縄県>
黒潮に哭く  片桐貞夫<カナダ>
sweetest truth  國岡葉子<イギリス>


集英社 小説すばるホームページ
http://syousetsu-subaru.shueisha.co.jp/
ページ左のナビから「小説すばる新人賞」をクリック
2003-08-18 (Mon)

感謝! 10,000ヒット!
 昨日ついに当サイトのアクセス数が10,000を越えました。
 今年の2月にサイトをオープンしてから満1年が経過しましたが、そのときのアクセス数が5,000強だったことを考えますと、昨年1年分のアクセス数を半年で越えたことになります。

 当サイトのアクセスカウンタは、トップページに設置してあります。初めの頃は、同じ人のカウントが重複しないようにCGIをセットしていました。そうすればページ間を移動してトップページを何度開いてもカウントされず、正確にカウント数を記録してくれます。しかし同じ方が時間を空けて再訪問してくださってもカウントされないという弊害もありました。
 そこでCGIの重複禁止を解除してありますが、トップページは一度通過したら戻らなくて済むように全てのページの戻り先をInformationのページにしました。この方が、重複禁止よりも実情に近いカウント数をはじき出してくれます。(フレームの関係でそうできないページもありますが)
 アクセスカウンタで正確なご訪問数を割り出すのは大変難しいことではありますが、10,000を越えたと言うことは、大凡その位のご訪問があったと言うことでしょうから、大変ありがたく思っております。
 当サイトを開設した当初は、これ程多くの方々に見ていただけるとは思っておりませんでしたので、正直この数には驚いております。
 ただ単にアクセス数を稼ぐだけなら、より多くの方々が興味を示す内容のサイトをつくれば良いのですが、創作活動それも推理小説という比較的地味な内容のサイトにも関わらず、これだけ多くの方が訪ねてくださったことには、ただただ感謝するばかりです。ありがとうございました。

 今後も一層サイトを充実させていくよう努力して行きたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
2003-07-27 (Sun)

第10回創元推理短編賞決定!
 第10回創元推理短編賞の最終選考会が、6月3日、綾辻行人、有栖川有栖、加納朋子の3氏により行われ、2次予選を通過した6編のうち、次の2作品が受賞作に決定しました。

 「インディゴの夜」 加藤実秋
 「神国崩壊」 獅子宮敏彦
 
 応募総数235編、一次選考通過作10編、二次選考通過作6編でした。創元推理短編賞は、次回からは「ミステリーズ! 短編賞」と名称が変わることになっています。詳しくは、東京創元社のホームページをご覧下さい。
2003/06/08 (Sun)

第49回江戸川乱歩賞受賞作決定!
 第49回江戸川乱歩賞の選考会が、23日、第一ホテル東京において行われ、応募総数356編の中から、次の2編が受賞作として選ばれた。

 『マッチメイク』   不知火京介(しらぬい きょうすけ)
 『二十年目の恩讐』  赤井三尋(あかい みひろ)

 5年ぶりのダブル受賞と言うことだが、私も応募した今回の江戸川乱歩賞の頂点に立ったのが上記二人だと思うと感慨も一入だ。
2003/05/28 (Wed)

ミス探し
 光文社文庫のチラシの一面に、ミステリー評論家の新保博久氏の興味深い一文が掲載されている。「読者も意地悪? 『ミス探し』の楽しみ」と題した一文がそれだ。
 内容は、昨年のミステリーランクを総なめにした横山秀夫氏の『半落ち』(講談社)に、犯人の計画が現行制度の実状に合わないと一部で話題になっている話や、松本清張の『点と線』、クロフツの『榑』、カトリーヌ・アルレー『わらの女』、そしてウールリッチや横溝正史を例にとり、名作にもミスがあることを指摘しながら、「名作のミス探しも読者の意地悪い楽しみだが、多少ミスがあっても、おもしろく読めるものこそ名作であるのはいうまでもない」と結んでいる。
その通りかもしれない。しかし釈然としないものを感じた。
 ミステリー賞に応募して、致命的なミスがあったとき、面白く読めたからと言って選考を通過させてくれるだろうか? 多分予選の段階で落とされるのではないかと思う。

 松本清張『点と線』は、東京駅の13番線ホームから15番線が1日に4分間だけ間に列車が入っていなくて見通せるのが眼目だ。ところが当の作品の新潮文庫版の解説で平野謙が、その4分間に目撃者乞13番線に誘導するのはいいが、目撃される側に15番線ホームを歩かせる口実が説明されていないと指摘している。(光文社文庫チラシ引用)

 もしこのことが松本清張ではなく無名の応募者だったらどうだろう?
 他県だろうが何だろうが、当たり前のように出向いていく十津川警部の活躍が、読者からも出版社からも支持されている中で、賞に応募する素人作家が、県を跨いで捜査をする刑事を描くと、「実情を知らない」「勉強不足」と一刀両断に切り捨てられてしまうことに、釈然としないものを感じる。
 私は、むしろ現実と多少違っていようとも、論理的に納得できるのであれば良いと考えているが、それでは賞をとることは出来ない。
 小説として面白く、新鮮味に溢れ、破綻なく(ミスなく)物語が展開し、驚きの結末を迎えなければ賞は獲得できない。それはプロであっても難しい作業ではないだろうか? ましてや新人には、余りに高いハードルのような気がするのだが……。
2003/04/14 (Mon)

鮎川哲也賞決定
 第13回鮎川哲也賞受賞作が決定しました。鮎川哲也氏の逝去に伴い、最終選考は選考委員の笠井潔、島田荘司両氏に東京創元社編集部を加えて行われたようです。受賞作は、森谷明子氏の「異本・源氏 藤式部の書き侍りける物語」に決定しました。
 鮎川哲也賞は、年々応募数が減少していて、第13回は応募総数が67編と極端に少なくなっています。昨今大賞受賞者には、一千万円代の賞金が贈られる賞が増えている中、賞金が印税のみという鮎川哲也賞は敬遠されがちなのかもしれませんが、本格を標榜していることも敬遠される一因でなければ良いのだけれどと心配してしまいます。
 また東京創元社は、選考結果を郵送で丁寧に通知してくれて、非常に良心的な運営をされていますが、鮎川哲也氏逝去のあとも、ホームページの募集要項の選考委員欄に鮎川哲也氏の名前を載せたままであることに、何となく熱心さが欠けている印象を受けてしまいます。
 本格ミステリー発展に力を注ぎ、その一方で新人の発掘にも尽力されたと言う鮎川哲也氏の名を冠した賞が、消滅してはならないと思います。是非東京創元社には、再生のための見直しをしていただきたいと思うのは私だけでしょうか?
2003/04/05 (Sat)

「推理小説大賞受賞者一覧表」と「推理小説大賞最終候補作リスト」
 新たに「推理小説大賞受賞者一覧表」と「推理小説大賞最終候補作リスト」の二つのコンテンツを追加しました。どちらも「推理小説大賞」の附属コンテンツで、ページ下にリンクを設定してあります。
 受賞者一覧は、どこにでもありそうなコンテンツではありますが、最終候補作のリストは見受けません。どちらかというとこの最終候補作のリストが作りたかったのです。
 受賞者だけを見ていると判りませんが、同じ方がいろいろなところ(賞)に顔を出していて興味深いのです。本当は二次選考や一次選考のリストも作りたいところですが、ちょっと手間が掛かって手を出せません。しかし、各選考の過程を見ていると、大きな賞を受賞された方が江戸川乱歩賞の二次で落ちていたり、同じ題・同じ作者の作品を別々の賞で見受けたり、なかなか面白いです。
 まだ量が不足していますが、これから調べて加えて行きたいと思っています。願わくば、いつの日か最終候補作の中に、自分自身の名前を見つけたいものです。
2003/02/12 (Wed)

本格ミステリー・ベスト10
 昨年度のベスト10第三弾として、探偵小説研究会編の本格ミステリー・ベスト10<国内部門>をお届けします。

1.オイディプス症候群 笠井潔
2.法月綸太郎の功績 法月綸太郎
3.マレー鉄道の謎 有栖川有栖
4.鏡の中は日曜日 殊能将之
5.GOTH 乙一
6.僧正の積木唄 山田正紀
7.グラン・ギニョール城 芦辺拓
8.奇偶 山口雅也
9.聯愁殺 西澤保彦
10.魔神の遊戯 島田荘司

 週刊文春の「2002傑作ミステリーベスト10」やこのミステリーがすごい!のミステリー&エンターテインメント・ベスト10と比べて、また顔ぶれが違いますね。それぞれのスタンスの違いが分かって面白いと思います。ただ、いずれにも顔を出している作品がありますが、その作品はスタンスの違いによる影響を受け難い作品なのか? はたまた、本当に優れた作品なのか? どっちなんでしょうね?
2003/02/04 (Tue)

江戸川乱歩賞応募
 1月30日22時04分、江戸川乱歩賞応募作を、近くにある郵便局の本局に出してきました。ここ数ヶ月、ずっと作品を書かなくてはならないと言う、縛りのようなものがあり、取り敢えず解放されサッパリとした気分!
 書くことが楽しくないとは言わないものの、会社勤めの傍らで書いているため、夜や休日は書かなければならないと言う義務感のようなものに縛られていたことは否定できず、投函した今、手足から錘が取れた気分であることもまた否定できません。
 まあ、少しの間は、この開放感を満喫しようと思います。

 ところで、前回の乱歩賞の選評の中で、宮部みゆきさんの言葉が大変印象に残りましたので、そのさわりを提示します。

『候補作の多くに共通して、「徒に物語を複雑にし過ぎ、それを保たせるために、登場人物たちに余計な煩悶を与えている」という弱点を感じました』

 判るような気がします。充分気をつけなくてはいけないことですね。
2003/01/31 (Fri)

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